プレミアム率は隠れ日本一?>県産米専用商品券の追加販売
- 2015/08/17
- 23:40
発端は、8月12日付け茨城新聞に掲載された――「お米券」追加販売 県、新米需要見込む――の記事だった。
茨城県が21日から、30%のプレミアムが付いた商品券「県産米専用プレミアム付お米券」を追加販売する。なんでも、6月に1億円分、2万冊を売り出したが、約7000冊が売れ残った。新米シーズンを控えた今回は5000冊を追加、1万2000冊分を用意して、9月10日まで応募を受け付けるという内容だった。
▽標準的な計算法なら43%に
プレミアム付お米券は、国の地方創生交付金を活用し、県産米の消費拡大を目的に県が行う事業。額面5000円(500円券10枚)を3500円で販売する。応募者多数の場合、抽選となり、引換と購入は9月26日から。お米券の購入と利用ができるのは県内の量販店や米穀店などで、取扱店は6月の244店舗から287店舗に拡大された。1人3冊まで購入できるが、お米は県産米限定で、お釣りは出ない。
これのどこが、JSO(重箱の隅に置けない)案件か。新聞でも「30%のプレミアム」と書いているが、額面5000円分を3500円で販売することを「プレミアム率30%」としているのが引っかかった。写真㊤の案内広告でもそううたっている。
だが、お金を支出する側、つまり消費者の立場からだと、3500円で5000円分の買い物ができるわけだから、5000÷3500=1.428…、大体43%お得ということにならないか。1人3冊なら1万500円で1万5000円分の米が購入できるので、ほぼ5割増しに近いのが実感できるだろう。
参考までに、国の地方創生交付金を使った各地の発行実績の事例をみると、「1万円で1000円を11枚」で「プレミアム率10%」とするなど、いずれも支出額を分母に置いている。
(表:プレミアム付商品券の発行実績:内閣府地方創生推進室資料)
この標準的な計算法で今のところ最も大きなプレミアム率は、相坊が調べたところでは、千葉県市川市のスーパープレミアム商品券の40%ちょうど。1セット5万円で7万円分の商品券が買える。見逃しもあるかもしれないが、お米券のプレミアム率43%は、日本一お得なプレミアム付商品券だとアピールできそうなのだ。
記事によれば、6月の募集期間は10日間しかなく、周知不足により売れ残ったとの反省に基づいての再募集という。マーケティングの基本でいえば、よりインパクトのある数字を使って、大盤振る舞いのイメージを打ち出す方が得策のはずだ。
あえて低い方の数字を使う理由が分からない、と紙面に記載された問い合わせ先に電話した。これがなぜか大手旅行代理店の水戸支店。「茨城県産米プレミアム商品券活用事業業務委託先」と表記されている。
電話で問い合わせ内容を伝えると、担当者に代わったが、この人の返事が要領を得ない。「プレミアム率は割引率と同じだ」と言い張る。
「では、事業主体の県に直接聞くから担当課を教えてくれ」というと、「調整して折り返し電話をする」となって、その場は電話を切った。これが12日の午前中だった。
▽交付金の割合30%を示す
「折り返し電話」は、ついに来なかった。旅行代理店にお盆休みはなかろうと、13日の午後4時過ぎ電話を入れたが、「担当者は出社しているものの外出中」ということで、再度の連絡を依頼した。
このままではラチがあかないので、その日はブログに書くのをあきらめて、県庁の担当課を探し当て、直接メールで質問を入れた。当然、相坊の実名での問い合わせとなる。
>プレミアム分を誰が負担するのか気になるからです。たぶん公費(税金)で負担するのだと思います。なので、30%か43%か、納税者としてきちんと把握したいと考えます。
という趣旨で質問をまとめた。
さすが、県庁、仕事が速い。回答は17日の夜9時30分過ぎに届いた。担当者の氏名も電話番号も入っている。
つまり、「プレミアム率」には明確な定義がないが、商品券に占める地方創生交付金の割合が30%であることから、この意味合いをアピールしたかったという趣旨のようだ。
プレミアム相当額1500円の表記は「補足」だとは思わなかったなあ。「スッキリ!」とまではいかないが、何とか理解の及ぶ回答にはなっている。
実名を出しての問い合わせを、いらずら電話のように放置した某旅行代理店の対応こそ、改めてメールして質そうか――、いやいや、ちょっと大人げない。けれど、やっぱり周知不足ですよ、この事業。目ざといものだけが得をする。
茨城県が21日から、30%のプレミアムが付いた商品券「県産米専用プレミアム付お米券」を追加販売する。なんでも、6月に1億円分、2万冊を売り出したが、約7000冊が売れ残った。新米シーズンを控えた今回は5000冊を追加、1万2000冊分を用意して、9月10日まで応募を受け付けるという内容だった。
▽標準的な計算法なら43%に
プレミアム付お米券は、国の地方創生交付金を活用し、県産米の消費拡大を目的に県が行う事業。額面5000円(500円券10枚)を3500円で販売する。応募者多数の場合、抽選となり、引換と購入は9月26日から。お米券の購入と利用ができるのは県内の量販店や米穀店などで、取扱店は6月の244店舗から287店舗に拡大された。1人3冊まで購入できるが、お米は県産米限定で、お釣りは出ない。
これのどこが、JSO(重箱の隅に置けない)案件か。新聞でも「30%のプレミアム」と書いているが、額面5000円分を3500円で販売することを「プレミアム率30%」としているのが引っかかった。写真㊤の案内広告でもそううたっている。
だが、お金を支出する側、つまり消費者の立場からだと、3500円で5000円分の買い物ができるわけだから、5000÷3500=1.428…、大体43%お得ということにならないか。1人3冊なら1万500円で1万5000円分の米が購入できるので、ほぼ5割増しに近いのが実感できるだろう。
参考までに、国の地方創生交付金を使った各地の発行実績の事例をみると、「1万円で1000円を11枚」で「プレミアム率10%」とするなど、いずれも支出額を分母に置いている。
(表:プレミアム付商品券の発行実績:内閣府地方創生推進室資料)
この標準的な計算法で今のところ最も大きなプレミアム率は、相坊が調べたところでは、千葉県市川市のスーパープレミアム商品券の40%ちょうど。1セット5万円で7万円分の商品券が買える。見逃しもあるかもしれないが、お米券のプレミアム率43%は、日本一お得なプレミアム付商品券だとアピールできそうなのだ。
記事によれば、6月の募集期間は10日間しかなく、周知不足により売れ残ったとの反省に基づいての再募集という。マーケティングの基本でいえば、よりインパクトのある数字を使って、大盤振る舞いのイメージを打ち出す方が得策のはずだ。
あえて低い方の数字を使う理由が分からない、と紙面に記載された問い合わせ先に電話した。これがなぜか大手旅行代理店の水戸支店。「茨城県産米プレミアム商品券活用事業業務委託先」と表記されている。
電話で問い合わせ内容を伝えると、担当者に代わったが、この人の返事が要領を得ない。「プレミアム率は割引率と同じだ」と言い張る。
「では、事業主体の県に直接聞くから担当課を教えてくれ」というと、「調整して折り返し電話をする」となって、その場は電話を切った。これが12日の午前中だった。
▽交付金の割合30%を示す
「折り返し電話」は、ついに来なかった。旅行代理店にお盆休みはなかろうと、13日の午後4時過ぎ電話を入れたが、「担当者は出社しているものの外出中」ということで、再度の連絡を依頼した。
このままではラチがあかないので、その日はブログに書くのをあきらめて、県庁の担当課を探し当て、直接メールで質問を入れた。当然、相坊の実名での問い合わせとなる。
>プレミアム分を誰が負担するのか気になるからです。たぶん公費(税金)で負担するのだと思います。なので、30%か43%か、納税者としてきちんと把握したいと考えます。
という趣旨で質問をまとめた。
さすが、県庁、仕事が速い。回答は17日の夜9時30分過ぎに届いた。担当者の氏名も電話番号も入っている。
お問い合わせの「プレミアム率」については,プレミアム率に係る明確な定義がなかったことから,今回の事業では、実際の購入できる額(5,000円)に占める,国の地方創生交付金の額(1,500円)の割合で示しております。
相坊様ご指摘のとおり「プレミアム率」という表現だけですと,分子分母のとらえ方で誤解を招くことも考え,3,500円で5,000分使えるという表現を併記し,プレミアム相当額は1,500円である旨を補足しております。
(原文の一部、相坊の部分だけ改稿)
つまり、「プレミアム率」には明確な定義がないが、商品券に占める地方創生交付金の割合が30%であることから、この意味合いをアピールしたかったという趣旨のようだ。
プレミアム相当額1500円の表記は「補足」だとは思わなかったなあ。「スッキリ!」とまではいかないが、何とか理解の及ぶ回答にはなっている。
実名を出しての問い合わせを、いらずら電話のように放置した某旅行代理店の対応こそ、改めてメールして質そうか――、いやいや、ちょっと大人げない。けれど、やっぱり周知不足ですよ、この事業。目ざといものだけが得をする。
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