田植え時期ハス田も操業中>種レンコンの定植
- 2017/05/03
- 23:21
5連休の初日は、朝っぱらから阿見町の妹宅への届けもので始まった。あわただしく配達の用を済ませてしまうと、今日一日何もすることがないのに気がついた。子供たちもカノジョたちも皆忙しくて、誰も遊んでくれない、連休の間じゅうずっとだ。
情けなくて仕方ないので、その足で霞ヶ浦まで行き、しばし歩くことにした。田植えの最盛期、朝のうちに写真でも撮っておこうと思ったのだ。
しかし、予科練平和記念館(阿見町廻戸)裏手に車を止め、湖岸堤を歩き出すと、この一帯に稲作の田んぼは見られない。水の張られた農地はすべてがハス田であった。
茨城県はレンコンの全国出荷割合で 49%(2014年)を誇る日本一の産地。なかでも霞ヶ浦、特に土浦入北岸域は一大産地を形成するが、土浦入の南岸域である阿見町での生産も年々さかんになっている。換金性が高いレンコンは「もうかる」作物なのだ。
5年計画で次世代の系統選抜
水ぬるむ湖岸の田園では、途切れることなくモーターの運転音が鳴り続け、くみ上げた用水を高く放水させたりしている。田んぼに腰まで浸かって働いている人の姿もちらほら見える。「水掘り」というのだっけ、今の季節、まだ収穫が続いているのだろうか。
いっぱいのレンコンを載せた田舟を曳く人が近づいてきたので話を聞くと「種(たね)レンコン」だと教えてくれた。今日収穫をして、そのまま田んぼに植え替える。時期的には4月からゴールデンウィークまでに、この定植作業を終えるということだ。
レンコンは夏の終わりに特徴的な「蓮の実」をつけるが、これを種として植え、栽培することはしない。実生(みしょう)だと、品質が維持できないからだ。レンコンで食用になるのは根茎の部分だが、2割程度は収穫せずに残して次作の種レンコンにする。この一種のクローン栽培により品質を一定に保つのである。
土浦一帯で主に作られるのは金澄(かなすみ)という品種、シャキシャキ感ある食味が消費者に好まれ、よく肥大して多収性なのが生産者に喜ばれる。千葉県の育成農家、金坂孝澄氏(故人)が系統選抜という手法で品種改良したもので、1985年ごろの金澄「1号」から始まり、5代目の「20号」は今でも多く作られている。最終的には「43号」ぐらいまで作られたそうだ。
しかしクローン技術で同一の品種を作り続けていると、レンコンの形状が細長く変形して品質が劣化したり、収量が減少したりする。このためは品質や収量を維持するため、次々に新しい品種や系統をの導入が必要になるわけだ。
他方、種レンコンはこうした専門の育成農家が作ってきたが、買ってばかりいては高くつくので、生産者も自前で栽培する。結果的にレンコンの育種家が減少し、新たな品種や系統の導入が困難になってきた。
近年では、優良品種・系統の選抜や育種の課題に取り組むのは、行政の仕事になった。茨城県では農業総合センター生物工学研究所(笠間市)が主に担う。
2013年度から5年計画で「レンコンの優良系統選抜」試験を実施しており、収集や選抜、品質評価を繰り返している。2018年には茨城県を代表するレンコンとして4系統を選出する予定という。食味・食感や形状・収量などのほか、浅めの場所で掘れる作業性なども次世代レンコンの条件に加味されている。
埋められた種レンコンは伸びていくに従い葉が出てきて、最初は浮葉といって水面に浮かんでくる。今月中には立葉が出て、6月~7月に花芽(かが)が出て、立派な花になる。
金澄種は白い花が特徴で、赤い花は嫌われる。その話はブログ165回で書いた。
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